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椎間板ヘルニア

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椎間板ヘルニアはダックスフントに多い疾患です。
発症した場合 病態のクラスわけと病状の進行度によって治療方針を決めます。

表1 病態のクラスわけ

症状 内科 外科
Ⅰ度 痛みのみ、神経欠損はない 100% 不要
Ⅱ度 歩行はできる不全麻痺 ナックリングがなくなる  100% 100%
Ⅲ度 歩行ができない不全麻痺 排尿排便可能 深部痛覚あり 100% 100%
Ⅳ度 完全対麻痺  深部痛覚あり 排尿が軽度消失 50% 100%
Ⅴ度 完全対麻痺 深部痛覚がない 排尿排便ができない 7% 50%

( Ⅳ度は外科療法をしても不良な症例が報告されており治癒しない可能性もあります)
Ⅱ、Ⅲ Ⅳ度の内科療法の場合は再発が起きることがあります。
内科療法の場合 快復するまでにはⅡ度で1~3ヶ月、Ⅲ度で2~6ヶ月 Ⅳ度で6~12ヶ月を要します。
外科療法の場合 5日~2週間で快復するのが一般的です (重度な場合は2~3ヶ月かかることも稀にあります)
Ⅴ度は24時間以上経過した場合は成績がかなり悪く、48時間以上の場合はかなり厳しいです。
術後に適切なリハビリを行うことが重要です。(手術2割、リハビリ8割と言われています)
上記はあくまでも当院の成績です。

表2 進行度による成績

経過時間 成績
甚急性 1時間以内 非常に悪い
急性 1~24時間以内 悪い
緩やか 24時間以内 良好

病状がⅠ度からⅢ、Ⅳ、Ⅴ度へと24時間以内に進行する場合は、治療への反応がかなり悪くなります。
急激に病状が悪化していっている場合は、脊髄軟化症が起きていることがあり3~5日で手術に係わらず死亡するケースがあります

上記のクラスわけは神経病学に精通した獣医師の判断が必要です。神経病学に精通していない素人の判断は危険ですのでおやめください。

手術が必要だと判断された場合は、脊髄造影検査CT検査などを行い、病変部を正確に把握し、遅滞なく手術を実施することが絶対必要です。

病院の手術日ではないからといった病院側の都合だけで、いたずらに手術を延期することがあってはなりません。

椎間板ヘルニアの疑いがある場合は手遅れになる前に、至急手術経験のある獣医師に相談されることをお勧めします。

レントゲン検査について

椎間板ヘルニアの診断は、単純レントゲンだけでは、正確な病変部を確定することはほぼ不可能です。

カルシュウム化している場所や椎間腔が狭い場所はたしかに病変部であることもありますが、違っている症例も多数見られます。

また麻痺がおこる原因は椎間板ヘルニアだけではなく、腫瘍や変性性疾患など、鑑別しなくてはならない疾患が多数あります。

したがって脊髄液検査造影検査CTもしくはMRIが必要です。

当院症例

発病から8時間で来院された 腰椎 Ⅱ、Ⅲ間に椎間板がほぼ全部脱出しており脊髄が水腫状態になっていたグレードⅣの膀胱麻痺をともなっていた症例です。

椎間はそんなに狭くもありませんし、カルシゥムの沈着も認められませんが造影検査では、欠損像が認められ硬膜外からの圧迫病変であることが疑われます。

発症から12時間で手術をしました。

グレードⅣで膀胱も麻痺し、脊髄の水腫が著しく駄目かもしれないと思われましたが、術後3日目から自力排尿ができるようになり、1週間目でふらつきながらも歩けるようになりました。2週間目の抜糸時には走れるようにまで回復した症例です。

脊髄が駄目になってしまう前に手術をすることが重要だと痛感した症例でした。

すべての症例が激しい浮腫をともなっているわけではありませんので、すべての症例で早急に手術が必要ということにはならないとは思いますが、病状が急激に悪化する場合は神経へのダメージを考慮して慎重に判断する必要があります。


右下画像 右側に欠損部を認めます。
従って、右側から圧迫されていることが疑われます。
グレードⅣまで進行しますと、左右どちら側が病変部なのかを判断するには、神経学的検査だけでは難しくなってきます。
脊髄造影検査でも、分からないことはありませんがCTが便利です。

 


左下画像 欠損部が良く分かりません


当院のCT設備
短時間で3D―CT画像の構築が可能です


正常な脊柱管内3D-CT画像

 


椎間板ヘルニア3D-CT画像

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